魂の骨格 「ULTRA-ACT×S.H.Figuarts ULTRAMAN」発売記念 清水栄一&下口智裕 インタビュー

「ULTRA-ACT×S.H.Figuarts ULTRAMAN」発売記念
清水栄一&下口智裕 インタビュー
「ULTRA-ACT×S.H.Figuarts ULTRAMAN」発売記念
清水栄一&下口智裕 インタビュー

「月刊ヒーローズ」にて大好評連載中のコミック『ULTRAMAN』より、ハヤタの息子・進次郎が着るウルトラマンスーツがアクションフィギュアで登場! 「巨大化せずに強化スーツを着て戦う異色のウルトラマン」を忠実にフィギュア化すべく、ウルトラシリーズを中心に躍動感ある動きやポージングを再現する「ULTRA-ACT」と、緻密な造形と広い可動域で等身大ヒーローを立体化する「S.H.Figuarts」による初のダブルブランドアイテムとなっている。
今回は本商品の発売を記念し、作者である清水栄一先生、下口智裕先生にインタビューを敢行。フィギュア化へのこだわりから原作コミックにまつわるエピソードまで、存分に語っていただいた。

 

――まずは、『ULTRAMAN』という作品が始まった経緯から教えて下さい。

清水:「月刊ヒーローズ」の担当さんから、「ウルトラマンのコミック化企画があるんですけど、いかがですか?」というお話をいただきました。
僕が仮面ライダー好きであることはご存知の方もいるかと思いますが、実はウルトラマンも大好きなんですよ。だからこそ、あの『ウルトラマン』という完成された作品を新しく作り直すには、全く新しい世界観にしない限りは無理だと思ったんです。

下口:だから最初は「絶対無理!」と断っていたんです。
でもある日突然「やる!」と言い出して、急にどうしたのかと聞いてみたら「巨大化ではなく等身大でやってほしい」と言われたと。そのとき既に彼がアーマー姿のウルトラマンを描いていたんです。

清水:ウルトラマンスーツは10分程で描いたデザインがほぼそのまま決定稿になりました。それまで「等身大のウルトラマン」という発想が全くなかったので、逆に肩の力が抜けて一気に描けたんだと思います。
その代わりセブンのデザインでは地獄を見ることになりましたけど(笑)。

下口:清水はウルトラマンをデザインされた成田亨さんを昔からすごく尊敬しているので、そういう意味でもウルトラマンという作品は大きな壁だったと思うんです。 だから傍で聞いていて「ウルトラマンをリデザインするなんて恐れ多いだろうに、本当に出来るのか!?」と思っていたんですけど、一旦吹っ切れたら何の迷いもなかったみたいで(笑)。そこから、完全なオリジナルのつもりで始めることになり……。

清水:当初は警察官を主役にするつもりで企画を進めていたんですけど、その後、紆余曲折があって「初代ウルトラマンの続き」ということになり、そこは頭を捻って設定を何とか作り上げました。焼き直しにしたら意味がないし、大好きな作品だからこそ「ウルトラマンを一度破壊するつもりでやるしかない」と覚悟して……。

下口:要は等身大で描くことがある意味「ウルトラマンの巨大さを否定する」=「破壊する」ことになってしまうということなんです。「等身大でスーツを着て戦う」というコンセプトの時点で、正統派のファンには当然反発されるだろうし、しかも本音では彼自身も巨大なウルトラマンが大好きだったりするので、そこがジレンマなんですけど(笑)。

清水:「なぜ巨大じゃないといけないのか」もそうですが「ウルトラマンってこうでしょ?」みたいな先入観に縛られてしまったら、等身大のウルトラマンは絶対に描けないなと思ったので。

下口:そういう意味では、正直なところ「他の人間にはやらせたくなかった」というのも、僕らの中ではかなり大きな理由の1つでしたね。

清水:だって他の人が「等身大のウルトラマン」なんて描いたら、絶対否定するからね(笑)。

下口:「巨大化しないのに、何がウルトラマンだよ!」と批判されると思っていたし、僕らも第三者だったら批判してたと思う(笑)。だから「この企画は俺たちでやるしかない、絶対に他の人間にやらせるわけにはいかない」と思ったし、普通に「巨大化するウルトラマンで」というお話だったら多分やっていなかったと思います。
それにウルトラマンをウルトラマンたらしめているのは、巨大化という要素だけではないですからね。例えばストーリーにしてもデザインにしても確立されたスタイルがあるし、巨大化とは別の部分を固めて行くことで「等身大だけど、確かにこれはウルトラマンだ」と言ってもらえるようなものを作れば良いんだと思っています。

「ULTRAMAN」

――清水先生は、個人的にもフィギュアがお好きだそうですね。

清水:ええ、かなり買っています(笑)。

下口:彼はもう「お好き」とか「集めてる」のレベルじゃないです。物量が尋常じゃない(笑)。

清水:僕は小学生の頃からガレージキット派で、以前は商品開発にも少し関わっていたんですよ。最近は作る時間がないので完成品ばかり買っていますけど。
もちろんプレミアムバンダイさんでも、かなり買い物してます(笑)。やっぱり「これは買うしかないだろう」と思わされるアイテムが多いので。

下口:そういう意味では筋金入りなので、監修のときも彼が原型師の方とバシバシ話を進めていくんです。元々ウルトラマンスーツをデザインしたのは彼ですし、専門用語もバリバリ出て来るので僕は勉強だと思って聞く側に徹していました(笑)。

清水:監修は円谷プロダクションの造形部門・LSS(ライトスカルプチャースタジオ)のご担当者にほとんどお任せしていたんですよ。特装版コミックスの限定付録フィギュアやバストアップモデルも造っていただいてる方なので安心してお任せできましたね。

下口:ここまで可動を仕込んだアイテムを作って頂くのも初めてのことですし、僕らもどこまでが実現可能なのか分からない部分もありました。ですからLSSさんに間に入っていただいて助かりました。

清水:最初から僕らだけの監修だったらこの20倍はうるさかったと思います(笑)。今回の原型データを作って下さった設計の方も我々とは以前から顔見知りで、僕の好みもすごく理解している方なんです。ですから、これは基本的にお任せしても大丈夫と思い、そして予想どおり満足いくものが完成しました。


――ではここで実際に試作品をご覧になった感想をお聞かせ下さい。

清水:本当に良い出来だと思います。

下口:主にプロポーションを中心に、僕ら二人で画像に修正個所を書き込む形で監修しました。可動との兼ね合いを踏まえつつ、どこまで立体化出来るのかというのが難しいですよね。絵だったら簡単に動かせるんですけど(笑)。

――今回は『ULTRAMAN』という作品のカラーやキャラクターを踏まえた上で、「ULTRA-ACT」と「S.H.Figuarts」のダブルブランドアイテムになりました。

清水:念願だったバンダイさんからの商品ですからね。自分も買っているブランドなのは嬉しいです。

下口:フィギュアが欲しいと思って下さっていた方々には「S.H.Figuarts」のように遊びやすいサイズを求めていた方と、「ウルトラマンだからULTRA-ACTで欲しい」という方がいると思うんですよ。今回はその両方に満足していただけるものになったと思います。

――カラーリングについてはいかがでしょう?

清水:良い感じに仕上がっていますね。
でも実は、僕の中のイメージではスーツのカラーリングは、最初は白一色だったんですよ。ところが以前バストモデルを作っていただいたとき、下口が「やっぱりシルバーが良い」と言い出したんです。僕は最後まで「白が良いんだけどなあ」と抵抗していたんですが、本物のウルトラマンスーツと同じ塗料で塗った完成品を見たら、「あ、カッコいい!」と思ったんです(笑)。それでシルバーとレッドが公式カラーになりました。銀色って普通は試作機カラーなんですよ。だから最初は違和感があったんです。

下口:清水はいつもこんな風に、何事も設定的な理屈から考えるんですよ。ウルトラマンスーツも最初はトサカがありませんでしたからね(笑)。

清水:フェイスオープンのギミックを入れようとするとトサカが邪魔だったんですよ(笑)。だから最初のデザインにはトサカがありませんでした。

下口:僕にヒーローデザインの大事さを教えてくれたのは清水だったんですよ。
なぜガンダムにツノがあるのか?とか。そんな彼がウルトラマンにトサカを付けないのはおかしいですよ。だから変えてもらいました。
またカラーリングをシルバーにしたのは、普通にウルトラマンらしい色であることも大きいですが、彼の描くデザインは情報量が多いので銀の方が際立つからなんですよ。作画する側としては白よりも銀色の方が凹凸が出やすいし、エッジも立てやすいですからね。

――今後のシリーズ化も期待されますが、次に立体化を希望するキャラクターは何ですか?

清水:そこはやはりセブンですね。
担当の方は「ベムラーは、魂ウェブ商店限定でどうですかね?」なんて話をしていますが(笑)。でも、このスーツと並べるならセブンかなと。これから武器も色々と増えるかも知れませんし(笑)。

――たとえばヒロインのレナなどの人間キャラクターはどうでしょう?

下口:僕はそこまでの熱はないんですよ。もちろん自分の描いたキャラクターが立体化されれば嬉しいですが、もしレナが出るとしても「他に出すべき美少女フィギュアはあるだろう」と思ってしまうので(笑)。

清水:レナは物語の当初の予定にはいなかったんですよ。担当やアシスタントから「そろそろヒロインを出して下さい」と言われて考えたキャラクターなんです。

下口:アイドルにしたのは僕らがアイドル好きだからって理由なんですけどね(笑)。

清水:「アイドルとつき合えるかも知れない」って、ロマンですからね(笑)。名前は『ウルトラマンティガ』のヤナセ・レナ隊員から付けました。彼女の存在が僕の中ですごく衝撃的だったんですよ。

下口:それ、よく言ってたよね(笑)。でも自分としては女の子よりも相方がデザインしたスーツを商品化してもらった方が嬉しいんですよ。ですから自分も欲しいのはセブンですね。あと「フェイスオープン状態のULTRAMAN」も面白いと思います。もちろんファンの方にレナの需要があれば、それはそれでやっぱり嬉しいんですけどね(笑)。

――それでは最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。

清水:まさかと思っていた『ULTRAMAN』の可動フィギュアが本当に出てしまいます。満足していただける出来になっていると思います。「ULTRA-ACT」シリーズの他のウルトラマンと並べて飾ってもらえると嬉しいですね。第20話の親子ウルトラマンの対面も再現できます。あと個人的には「ROBOT魂」か「METAL BUILD」でラインバレルが欲しいなぁと(笑)。

下口:これまでの「ULTRA-ACT」とはまた違った印象になっていて面白いし、ガシガシ動かして遊んでもらえたら嬉しいです。漫画を読んで下さっている方は喜んでいただけると思います。よろしくお願いします!



【プロフィール】

清水栄一(しみず・えいいち)

清水栄一(しみず・えいいち)/下口智裕(しもぐち・ともひろ)
清水氏が原作・脚本・メカデザイン、下口氏がキャラクターデザイン・メイン作画を主に担当し、息のあったコンビネーションにより数々の作品を生み出してきた。代表作は『無敵番長バクライガ』、『鋼鉄の華』、『鉄のラインバレル』、『天然美少女メカ ロボ子ちゃん!』など。


ULTRA-ACT×S.H.Figuarts ULTRAMAN
ULTRA-ACT×S.H.Figuarts
ULTRAMAN


メーカー希望小売価格: 5,184円(税8%込)
発売日:2015年7月31日発売予定

2015年3月2日(月) 一般販売店様での予約解禁予定 (予約取扱の有無は販売店様により異なります)

商品詳細はこちら

最新第6巻 7/4発売

ULTRA-ACT ULTRA-ACT
円谷プロ作品のキャラクターデザインを最大限考慮した可動機構により、理想的体型(ACTOR)と高いアクション性(ACTION)を両立させたアクションフィギュアシリーズです。
S.H.Figuarts S.H.Figuarts
「可動によるキャラクター表現の追求」をテーマに、「造形」「可動」「彩色」とあら ゆるフィギュアの技術を凝縮した手の平サイズのスタンダードフィギュアシリーズです。

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